薬剤師のコミュニケーション力・人間力を育てる「YAKUNOWA NLPコーチング講座」第1期が、全12回の日程を終えて修了しました。
この講座で目指してきたのは、NLP(神経言語プログラミング)の知識やテクニックを身につけることではありません。患者さんとの服薬指導、スタッフとの面談や育成、経営者・管理職としての組織づくり、そして自分自身のキャリア。薬剤師が人と関わるあらゆる場面で、「相手は、なぜそう考えているのだろう?」「本当は、どうしたいのだろう?」と相手の世界を理解し、その人自身が次の一歩を選べるような関わり方を身につけること。それが12回を通しての目的でした。
この記事では、第1期で何を学び、何が見えてきたのかを振り返ります。

薬剤師に必要なのは、専門知識だけではない
薬剤師は、薬の専門家です。しかし、どれだけ正しい知識を持っていても、正しい情報を伝えるだけで患者さんの行動が変わるとは限りません。
- 「薬を飲みたくない」
- 「生活習慣を変えられない」
- 「副作用が怖い」
その言葉の背景には、一人ひとり異なる経験、不安、価値観があります。
これはスタッフとの関係でも同じです。「仕事にやりがいを感じない」「新しいことに挑戦したくない」「転職を考えている」——こうした言葉に対して、すぐにアドバイスや正論を返すのではなく、まず相手を理解する。第1期では、そんなコミュニケーションの土台から学んでいきました。
「知る」から「使える」へ
講座では、ラポール形成、質問、優位感覚、リフレーミング、目標設定、ストラテジー、TOTE、メタファー、チャンキングなど、さまざまな考え方やコミュニケーション技法を扱いました。
ただし、大切にしてきたのは技法を覚えることではありません。学んだ内容を、自分自身や実際の薬局現場に置き換えて考えることです。
講座が進むにつれて、参加者の視線は自分自身にも向くようになっていきました。
- 自分はどんなときに良い状態でいられるのか
- なぜ自分はこのような判断をするのか
- 相手に伝えているつもりでも、自分の価値観を押しつけていなかったか
相手を理解するためには、まず自分を知ること。これも、講座を通して大切にしてきた学びの一つです。

最終回は、薬局現場を想定した面談のロールプレイング
最終回では、これまでの学びを統合し、スタッフ面談を想定したロールプレイングを実施しました。
設定したのは、「仕事がルーティン作業に感じられて、やりがいがない。でも、他にやりたいこともない」と悩む入社3年目の薬剤師との面談です。多くの薬局で、実際に起きている場面だと思います。
ここでは「こうした方がいい」と答えを提示するのではなく、質問を重ねながら本人の考えを整理していきました。
実践してわかった、質問することの難しさ
ロールプレイングを通して見えてきたのは、質問しているつもりでも、無意識に自分が考える正解へ誘導してしまうことがあるということでした。経験のある人ほど、答えが先に見えてしまうぶん、この傾向は強く出ます。
一方で、相手を否定せずに視点を広げたり、過去の経験やモチベーションの源泉を丁寧に掘り下げたりすることで、それまで本人にも見えていなかった選択肢が生まれる場面もありました。
また、面談の最初と最後に「話してくれてありがとう」と感謝を伝えること。そうした安心して話せる関係性そのものの重要性も、改めて確認しました。
「話してよかった」と思われる薬剤師へ
第1期を通して、繰り返し大切にしてきた問いがあります。
「相手が、話してよかったと思える対話になっているか?」
薬剤師には、患者さんへ正しい情報を伝える責任があります。しかしその前に、目の前の人が何を感じ、何を大切にし、何に困っているのかを理解することが必要です。
スタッフ育成でも同様です。できない理由を決めつけるのではなく、「なぜできないのか」「なぜやりたくないのか」「本当はどうしたいのか」を一緒に考えていく。そうした対話ができることも、これからの薬剤師に求められる大切な力だとYAKUNOWAは考えています。
第1期を終えて、見えてきたこと
今回の第1期は、YAKUNOWAにとっても多くの学びがある時間となりました。
特にはっきりしたのは、コミュニケーションは知識として理解するだけでは身につかないということです。実際に患者役・スタッフ役・コーチ役になり、対話して、フィードバックを受ける。その経験を重ねることで初めて、自分自身の話し方や質問の癖に気づくことができます。
今後は、第1期で得られた参加者の反応や実践での気づきをもとに、さらに薬局現場で使える内容へ更新していきます。一般的なNLPの理論を学ぶだけでなく、
- 患者さんへの服薬支援
- スタッフとの1on1・面談
- 新人・部下の育成
- 管理薬剤師としてのチームづくり
- 経営者としての組織づくり
こうした薬局ならではの場面を増やし、より実践を重視したプログラムへ育てていく予定です。

NLPはゴールではなく、成長の入口
YAKUNOWAにとって、NLPコーチングを学ぶこと自体がゴールではありません。
自分を知る。相手を知る。人との関わり方が変わる。そこから、「自分はどんな薬剤師になりたいのか」「どんな薬局をつくりたいのか」「どんな仲間と働きたいのか」「自分はこれから、どんな人生を選びたいのか」という、さらに大きな問いにつながっていきます。
だからこそ、NLPコーチング講座を、YAKUNOWAでの学びと成長の”入口”となるプログラムとして、今後さらに磨いていきます。
薬剤師としての専門性に、人を理解する力を。そして、自分自身の可能性にも気づける学びを。自分の人生を選べる薬剤師へ。
第1期にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。学びを現場で使い、自分自身の成長につなげていくのは、ここからです。
NLPコーチング講座について
YAKUNOWAのNLPコーチング講座は、薬局現場での実践を前提に設計したプログラムです。座学だけでなく、ロールプレイングとフィードバックを重ねることで、知識を実際の対話に変えていきます。
YAKUNOWAメンバーの方は、会費内で受講いただけます。追加の受講料はかかりません。メンバー以外の方も、一般受講としてご参加いただけます。
次のような方に向いています。
- 患者さんとの関わりをもっと深めたい
- スタッフとの面談・育成力を高めたい
- 経営者・管理職として、人を活かせるリーダーになりたい
第2期のご案内
第2期は、2026年9月25日(金)20:30より開講します。第1期で得た学びを活かし、より薬局現場での実践につながるプログラムとして開催します。
AI時代だからこそ、これから重要になるのは知識を持っていることだけではなく、人を理解し、問いを立て、可能性を引き出す力だと考えています。次の3か月を一緒に学べる方をお待ちしています。
開講のご案内や募集状況は、YAKUNOWA公式LINEにてお知らせしています。次回以降の開催にご興味のある方も、まずは友だち追加をお願いします。


